湧水ボランティアに参加して 私達の住む今市市は大谷川の扇状地上に形成された街。大谷川の伏流水や報徳用水からもたらされた広い水田によって、昔から豊かな地下水が作られてきました。それはこの今市扇状地が複雑な地質構造を持つために、他の扇状地には見られない特殊な性質を維持しているからです。地下水が自然の状態で地表に現れたものを「湧水」というそうです。 平成10年に策定された「今市市環境基本計画」、その中に「湧水地保全整備計画」というものがあります。『自然のめぐみ「湧水地」を守り「水」と共生する』という基本理念のもと、2010年までの間に整備していく計画だそうです。市の財産である湧水を守るという事業を進めてゆくためには、湧水地の土地所有者・市民・行政の三者が協力関係を持たなければなりません。その第1ステップが、平成13年度から実行に移されることになりました。 今春、市役所の生活環境課より湧水地を調査する市民ボランティアの募集がありました。年4回、市内 75ヶ所の湧水を調査するのが目的です。我が家の近くにも湧水があり、また4月に当会のメンバーで用水調査をした際にも素晴らしい湧水地を見学、水の生まれ出る場所にはとても興味がありましたのでさっそく登録しました。20数名の市民ボランティアはグループに分かれ、誰にでもできる方法で先日一回目の調査を行ってきました。幹線道路のすぐそばや分譲地の中から湧き出ているもの、ひっそりと人間の目に触れない場所のもの、地域の人々に大切に管理されているものなど、湧出状態はそれぞれ特徴があります。これからも季節ごとに調査は続けられます。 地球のあちこちで水不足が懸念される今日、市内75ヶ所から水が湧き出ていることは、私達市民はたいへんな財産を預かっているのだと言えましょう。これだけ広範囲に湧出しているのは全国的にも珍しいのではないでしょうか。地域の人々の暮らしに溶け込み、来訪者の疲れと渇きを癒してくれる湧水は、今市市の宝としていつまでも愛され保全されていくものでなければなりません。大切に残していきたいですね。 ところで調査マップには入っていませんが、身近な湧水をひとつ紹介します。大谷川右岸、大谷橋北側の公園の鯉池に注がれている水は湧水です。ゆったりとゆらめく水草の根本から水は湧き出ています。手をさし入れてみてください。この夏、その冷たさはきっとあなたにとって忘れられないものとなりましょう。 (塚崎)
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